新聞社の社会部と政治部の違いは?記者体験談から見える取材スタイルの現実
新聞社やテレビ局には社会部や政治部といった部署があり、それぞれ取材方法や立ち位置が大きく異なります。どういう職務内容で、どういう違いがあるのでしょうか。社会部出身の筆者が体験した政治部との摩擦や、外務省記者クラブでの取材現場を振り返りながら、それぞれを解説します。
社会部と政治部の違い
社会部と政治部では、記者の立ち位置や距離感がまったく異なります。
- 社会部:市民に近く、生活に根ざした事件・事故・災害を取材。政治家からは煙たがられることも。
- 政治部:政治家や官僚との距離が近く、発表や裏情報を扱う。発表情報に依存する場面も多い。
どちらが良い悪いというよりも、自分の性格や志向に合っているかが重要です。現場で汗をかくのが好きな人は社会部、情報の裏を読み取り人脈を築くのが得意な人は政治部が向いているかもしれません。
社によって「力」のある部署が違う
マスコミ各社には、社風によって力を持つ部署が異なります。たとえば、政治部が強いとされる代表的な存在は〇HKです。政治家とのパイプを重視するため、政治報道において他社よりも優位性を確保してきた背景があります。

社会部記者が政治部から受けた“排除”の言葉
私が30代で東京社会部に所属していたころ、自民党の幹事長室に取材申し込みに行ったときのこと。入口で突然、〇HK政治部の記者に出会いました。彼はこう言い放ったのです。
「ここは、お前ら社会部のような奴らが来るところではない」
事務所の秘書や担当者に断られるならまだしも、なぜ他社の記者に追い払われなければならないのか。社会部という理由だけで。当時の私は大きな違和感を覚えた。
外務省記者クラブで知った取材スタイル
政治部記者は外務省記者クラブにも常駐しています。私が外交官を狙った海外テロ事件の応援取材で訪れた際、社会部とはまったく異なる取材スタイルに驚きました。
- 会見は「ブリーフィング」と呼ばれる
- 幹部や高官が記者室に直接やってきて状況説明をする
- 被害者や事件状況が一括して共有される
ただし、出てきた情報をそのまま記事化することは許されず、記事には「政府筋」「高官」「○○筋」といった匿名の肩書きを使うよう指示されました。
社会部で“夜回り”や足で稼いだ情報を「捜査関係者によると」などとして記事化してきた私には、少し戸惑いがありました。
政治部記者は自分たちの主張を伝えてくれる
政治部は、首相官邸や内閣府、自民党、野党、外務省、厚生労働省などを受け持つ。担当大臣や省庁、与党幹部、野党幹部、省庁幹部らを取材して、政局や政策、予算などを伝えています。
政治家や官僚に食い込むことが重要とされていますが、書けないことも増えます。
国会議員側としたら、政治部記者は自分たちの主張を伝えてくれるという考えがあり、仲間意識が芽生えます。政治部中心の記者クラブの会見では、批判的な質問が出ないのはこのため。時々、政治家の相談役みたいな政治部記者も現れます。
それでも政治家の懐に入り、内側の情報を取ることは、政治報道を間違わないためにも必要なことです。
社会部は事件事故、社会で起きていることをすべて対象とします。
警視庁、裁判所、検察庁、警察庁、厚生労働省、文科省、経済産業省、法務省、都庁、区役所、鉄道、空港、航空、遊軍など幅広く担当しています。
一般市民の目線での取材が多く、消費者側に立っています。
政治家については、中央だけでなく各選挙区での取材があります。その際は、裏金問題など批判的なことも候補者に聞きます。汚職や買収などの事件や疑惑も積極的に取材。国会議員だからといって遠慮はしません。
このため政治家は社会部記者を毛嫌いしている。それが前述の政治部記者の与党幹部に忖度した行為につながっている。
まとめ:他部署は違って見えるが「適性」で選ぶ
どの業界でも、自分が所属していない部署は違って見えるもの。
社会部から見た政治部は独特で政治家への距離感も異なりましたが、最後に大切なのは「どちらが自分に合っているか」
組織の中で部署ごとの役割や価値観の違いを理解することは、互いの仕事の理解や協力につながる。自分のキャリアを考える上でも有益です。


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