『なんで辞めたんや』記者室で元先輩に問いただされた日──20代でY新聞を去った元デスクが教える『転職が決まった後の正しい割り切り方』

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在職中に転職先が決まったとき、会社を辞めるまでどう過ごしたらいいでしょうか。気持ちとしては、仕事を放り出したいところでしょう。

それは、お勧めしません。余計にこじれて、すっきりと辞められません。わだかまりを残すだけ。

やる気は下がっているので、きついところですが、それでも残りの仕事はきちんと処理し、引継ぎをしてから去りましょう。

問題がある会社でも、あなたのことを理解しようとする人はいるかもしれません。

20代で別のマスコミに転職経験のある私の体験から考えます。

転職が決まった途端にやる気が消えた

「モチベーションがどうしても保てない」

転職で今の職場をまもなく去ることが決まっているときのこと。

どうせ、頑張っても意味がないし、あとのことは知らない。

私も20代前半で次の転職先の新聞社が決まったとき、正直「もう頑張っても意味がない」と思ってしまいました。

関西の地方支局で、若手記者として働いていた私は、次の準備で頭がいっぱいで、今の職場に気持ちが入らない。

仕事への集中力が切れ、ミスも増えてきた

無理に仕事を広げることはしませんでしたが、それでも、会社ではうっかりミスが増え、忘れ物までしてしまう始末。

さすがに「これはよくない」と気づきました。

よい印象を残したまま、去った方が無難です。

辞める理由の表向きが「実家の事情」などとした場合、私は新聞記者として最後の仕事を全うするはずだと周りから勝手に思われます。

そもそも辞めた理由は、支局のパワハラが原因。1年間、ほとんど休みはなく泊りと夜勤をさせられました、暴力や嫌がらせは毎日。別の支局の男性同期は過労による心不全で亡くなりました。私も耳鳴りがして、血圧も180を超えて頭痛がしました。死ぬより、辞める方がマシと思うようになりました。

一日も早く去りたい。ここにいたくないとの気持ちでいっぱいだが、職場では表情に出せない。そのときは社会で生き抜く訓練の場だと思って割り切るしかなかった。

次の新聞社も記者の仕事が決まっていたので、それににつながる仕事を優先しました。他社の記者とのお別れ会には積極的に出ました。

今の会社への義理を果たしつつ、次の仕事に繋がる他社記者との挨拶や別れ会を優先した。

あの日繋ぎ止めた縁は、30年以上が経った今でも大切な取材ノウハウや人間関係として私を支え続けています。

去り際の時間は、捨てる時間ではなく『未来の財産を作る時間』なのです

辞めるまでの期間も意味あるものとして過ごせば、経験自体が他の人にはない自分の財産になります。前向きにとらえてほしいと思います。

社会は狭い、去り際の印象は残る

前社のY新聞社を辞めて今の会社に移ってから、Y社の記者らと現場や記者クラブでよく会いました。

大阪では、前社の府政キャップの元先輩に同社の記者室に呼ばれて、なんでやめたのかとしつこく聞かれました。当然、本当のことは言いません。

東京でも地方でもY社の同期や後輩らに会いました。厚生労働省の記者クラブや地方支局にもたくさんいました。ただ、あまりひどいことをしてなければ、前社の人たちとの関係は悪くなりません。

私が40代後半で関西に近い地方支局に赴任したとき、Y社の同期男性と、支局長同士で再会しました。よく飲みにも行き、両支局員同士も良好な関係でいられました。

別々の人生を歩んだわけですが、互いの半生を聞いて、楽しかったのを覚えています。彼も楽しそうでした。つい長居してしまいました。

ただ、Y社の支局長は1年足らずで別の支局に移ってしまい、残念でした。

社会は思った以上に狭い。将来、元同僚や上司に思わぬ場所で再会することがあります。不満をぶつけて去るのではなく、なるべく静かに、自分のためにきちんと礼儀正しく去ることが大切だと実感しました。

過去の転職体験からわかったこと

好きなことしか集中できない私は、転職先に移るまでの間、「苦手なことでもそこそこ集中する訓練」として、前の会社での残り時間を過ごしました。

当時の会社には不満はありますが、自分の力で職場の有り様を変えられないので仕方がない。気持ちを切り替えるしかありません。

お別れの挨拶も面倒に思うかもしれませんが、将来の自分のために、最後までやり切ることが大切です。

まとめ

転職が決まった後は、「今さら頑張っても意味がない」と感じやすいものです。去り際の印象は、次の職場やキャリアにも意外な形でつながってきます。

不満をぶつけるよりも、自分のためにきちんと挨拶をして去れば、再会した元同僚とも気持ちよく付き合えますし、業界内での評判も守れます。

転職準備と並行して「集中力の訓練」だと割り切ることで、好きでない仕事にも取り組む力が少しずつ身についていきます。これは新しい環境に移ってからもきっと役に立ちます。

去り際を大事にすることは、次のキャリアをスムーズにする最初の一歩です。

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シュレディンガー
報道記者
主要マスコミに勤務。記者、デスクとして東京、大阪、地方での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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