新聞社編集局に高卒で入れる?|記者が語るキャリアの実態と意外な経歴の人たち

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「新聞社編集局に高卒で入れるのか?」という検索ワードを見かけました。私は長年新聞社で働いてきた経験がありますが、結論から言えば 大卒以外の経歴でも記者になり活躍している人は存在する、ということです。

高卒や異業種から記者になったケースはあるの

新聞社は基本的に大卒採用が中心です。しかし、人員削減や配置転換、または社内での活躍が認められて、印刷や制作、庶務、関連会社から記者や整理部門に異動するケースがあります。実際、私の会社でも高卒で入社し、大卒と変わらない実績を残している人たちがいます。

さらに、歴史を振り返れば、戦前・戦後には高卒出身で新聞社の幹部になった人も存在します。私の会社の元会長も高校卒でした。

スナックのママから記者に

特に印象的だったのは、庶務事務員から記者になった女性です。
彼女は浅草にあるスナック「ハーレム」で夜は雇われママを務めながら、昼間は記者として取材をしていました。店には地元自治会や警察署幹部、三社祭の氏子役員らが常連客として訪れ、貴重な情報が集まりました。彼女はそのネットワークを活かして数多くの特ダネを取材。社会部にとって欠かせない存在になっていました。

私自身、社会部東京ニュースデスクとして彼女の記事を何度も1面や社会面に引き上げ、大きく扱った経験があります。

浅草の人情味と記者としての行動力を併せ持ち、まさに“人脈と現場力で勝負するジャーナリスト”でした。

打ち上げでママのいるスナックへ

社会部の打ち上げの2次会は、仲見世通りから少し離れた路地にあるハーレムでした。ホステスは数人いましたが皆60代前後。打ち上げではカウンターとテーブル席を社の幹部や部員たちが占領し、歌ったり、雑談したりしていました。

ママでもある女性記者は江戸っ子のように明るく粋な性格で、私も大変お世話になりました。昼間はカメラを提げてノートを手に駆け回り、夜はカウンター内にドレス姿で接客する様子は対照的でした。

サスペンスドラマのヒロインにしたら面白いといつも思ってました。彼女は地方から上京していろいろ働いた後で、夜の仕事と兼務で支局事務員になったそうです。

異色の経歴は新聞社にとって強みになる

新聞社に入る経路は一つではありません。

  • 高卒から制作を経て記者になる
  • 庶務やカメラマンから転身する
  • スナックのママという生活経験を活かす

こうした多様な経歴を持つ人材は、現場に独自の強みをもたらす貴重な戦力です。
どこの世界でも同じですが、「その人にしかない能力や背景」があれば、記者として大きな成果を残すことができます。

まとめ

新聞社編集局に高卒で入れるのか?
答えは「はい、場合によっては可能」です。

大卒採用が主流であることは間違いありませんが、新聞社は常に現場の即戦力を求めています。学歴よりも、 人脈・情報力・取材力 が重視される世界です。

実際に、スナックのママから特ダネ記者になったベテラン女性記者のように、異色の経歴を持つ人は新聞社にとって大切な存在でした。

新聞社を目指す人にとっても、「学歴だけがすべてではない」ということを知っていただければと思います。

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シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
マスコミに勤務。記者として東京、大阪での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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