社外秘の会社情報の管理のあり方|スキャンダル掲載の社内冊子が廃刊した理由 

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社外秘の会社情報の管理はどうしたらいいのか。他社にもれたらまずい会社情報はSNSが発達した今、隠し通すことは難しい。内容が誹謗中傷を含むならなおさら。

あなたの社が慣習で続けているならやめたほうがいい。

社内の人間が悪意でネットにつないだりしたら、またたくまに外部に広まってしまう。私が勤務する新聞社も最近まで、同じ問題を抱えていた。

私は社外秘冊子の編集担当。その経験と事例から情報管理の在り方を考えます。

社外秘の会社情報とは何だったのか

内輪向けに月一回発行される「社外秘の冊子」は、地方における他社の動きや政治経済についてまとめるという名目でした。

実際の内容は他社の悪口や地方議員の男女のスキャンダルなどが中心。支局の記者や支局長が、本社の編集担当者に取材して情報を送っていたのです。

他社批判やスキャンダルが中心の内容

冊子には「○○社の記者は支局長とそりが合わず、精神的に病んでしまった」「○○議員と○○議員は不倫関係にある」「○○社の記者は市長に嫌われている」「○○社の記者は懇親会で大失態した」「○○記者は確認不足で誤報を書いて大恥をかいた」などといった記述が並びます。

他社の失敗や恥ずかしい話、不倫、奇行、他社の勢力図など盛りだくさん。他社の人事情報も詳細に掲載しました。

ネタ集めに追われる記者たちの苦悩

記者たちは毎号、ネタを集めなければならず、上司からの催促もあり負担になっていました。他社の記者や市の広報にも協力してもらい記事に仕立てていた。

この慣習は少なくとも数十年は続いた。同僚からは「時間の無駄」「くだらないからやめるべきだ」との声が上がり、私自身も上司に廃刊を訴えましたが、変わりません。社の役員たちが冊子を楽しみにしており、やめられなかったのです。

他社記者からの抗議と冊子の終焉

ところが、他社の記者から「自分のことが掲載されている」と私の社に強い抗議がありました。冊子のコピーが外部に漏れ、その記者の手に渡っていたのです。

内容は彼のプライベートや会社内でのトラブル、人事に関わるものであり、私の社で閲覧されていたことに激しく憤りました。彼は「お前の社の記者のまずいところもばらすぞ」とすごい剣幕でした。

調べると、私の社の中堅の男性記者が彼に漏らしたそうです。

この問題をきっかけに、長年続いた冊子は廃刊となりました。

まとめ

社内限定の「社外秘の冊子」は、もともと地方情報を目的として始まった。実際には他社批判やスキャンダル記事が中心となり、記者たちの精神的なストレスにもなっていた。役員が読みたいという理由で長年続いたが、外部への漏洩と他社記者からの抗議を受けて、ついに終焉を迎えた。

この出来事は「慣習だから」「上層部が望むから」という理由だけで続けられてきたが、外圧の一撃であっけなく消滅しました。

これらの情報は昭和なら、幹部、社員間の話題として、意味があったのでしょう。事件や政治、行政の施策の裏を理解し、取材や根回しにも役立ったのかもしれません。

しかし、事実に基づかない噂レベルの話、誹謗中傷もありました。人権やコンプライアンスの意識が薄かったのです。

今は社内限定の文書であっても、それが外に漏れたら問題になるとの意識がなければいけません。そもそも仕事に必要な情報なのか。

冊子だけでなく社内のネット環境があれば、社員や嘱託社員なら誰でも内容を見られ、簡単にコピー、SNSに転載でできてしまう。

組織において“やめられないこと”を見直す勇気が必要と痛感させられました。

まとめ

月イチ発行の「社外秘の冊子」は、役員のちょっとした“週刊誌ごっこ”だったのかもしれない。上層部にとってはコーヒータイムのお供。“裏の社内報”も外に漏れた瞬間に火種と化し、社の評判を落とすことに。あっさり廃刊に追い込まれまた。

長年続いてきた慣習も「楽しみにしている人がいるから」という理由だけでは生き残れない。誹謗中傷を自ら助長したらブーメランのように返ってくる。まさに“身内だけの内輪ネタ”は、外に出た瞬間、笑えなくなってしまう。

そんな慣習、あなたの会社に残っていませんか?

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シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
主要マスコミに勤務。記者、デスクとして東京、大阪、地方での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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