【デスク直伝】会議や商談で聞き漏らさない「構成メモ術」|情報の優先順位を決めるプロの技術
会議などの報告書を早く的確にまとめるには、どうしたらいいのか。手間取っている人もいると思います。
要約は生成AIでもできますが、不必要なところまで盛り込むことがあります。ほしいところだけ、意図的にまとめるには記者のメモの取り方が参考になります。
ノートを見た瞬間に、何が書いてあるかを把握し、構成を整理してすぐに記事にしていく。締め切り時間をにらんでの作業に応じた手法です。
会見前に頭の中で記事の構成を考え、会見では、それに沿って必要な箇所を聞き、まとめていきます。準備がすべて。これができれば、早く効率的に記事や報告書が出せますし、内容もぐっと質の高いものになります。
ノートをすっきりとわかりやすくまとめることも大切。書きなぐっていて、どこに何が書いてあるのか確認しなければいけない状況なら、作業は大幅に遅れます。
一般企業の会議での報告書やまとめ文書、広報や社内報を作成するときも同じ。共通のテーマごとに展開していきます。
30年以上記者やデスクを経験した筆者が、その技術を伝授します。
なぜ「速記」はムダなのか? 記事化を遅らせる従来のメモ術
私が東京社会部にいたころ、厚生労働省や国土交通省、首相官邸の会見で、他社の記者たちがノートやパソコンに内容を必死に書いているのをよく見ました。
それは速記と同じ作業。話された内容を忠実に文字に起こしているだけ。
私も一度、試したことがありますが、どこに何が書いてあるのか、さっぱりわからない。後で読み直し、確認しなければいけない。かなり無駄な作業と感じました。
プロの記者流!正確に早く記事化するための「構成先行型」メモ術
事前準備:会見前に「想定記事」を頭の中で組み立てる
良いメモを取るためには、事前に会見で話されることを想定し、頭の中で記事をつくってしまうことです。その想定記事を基に会見を聞きます。
現場での選別:必要な情報だけを記し、ノイズを無視する
記事にするのに必要なところだけをノートに記し、ポイントや意義を書き込みます。それた話は無視し、必要な話だけをメモにしていく。記事を想定していれば、ほしい話について自ら質問し、メモに落とし込むことができます。
途中で、別の話がニュースだとわかったら、頭の中で記事の構成を差し替える。新しい方針のもと、必要な内容のみ書いていく。
ノートに「役割」を書き込む:リード、補足、重要個所を明確化
ノートには関連性のあるものに同じ印をつけたり、重要度を示したり、リードに必要な項目を書きだしたりします。記事化する際の構成も書き込んでいきます。
会見が終わるころには、頭の中で記事はできあがり、それをパソコンで書くだけの状態になります。重要箇所は印がついているので、事実関係の確認作業もぐっと楽になります。
バックアップ体制:レコーダー活用と生成AIによる効率化
めったにありませんが、聞き流したことが重要な場合があります。念のためバックアップとして電子レコーダーで録音も同時にします。
記録記事としてやりとり全文を求められたときは、後で**生成AIで文章化すれば事足ります。**少なくとも記者が全文をパソコンに打ち込む必要はないのです。

【具体例】火薬工場爆発事故会見から学ぶ実践的なメモの取り方
具体例として、火薬工場の爆発事故に関する会社の会見について見ていきましょう。
一報は警察からの発表で記事化されているので、会社の会見は原因が中心となると予想します。「○○事故で、原因について、○○だったことが分かった。〇会社が〇日の会見で明らかにした」とのイメージで、それに沿った内容を中心にメモを取っていきます。
原因のくだりでは、事故の場所、構造、点検、老朽化、過去に問題はなかったのか、安全対策はきちんとなされていたのか、といった点に注目します。
記事に必要なところは、どんどんノートに記していきます。会見中にどの項目が重要なのか優先順位をつけていくことも重要です。
その際に早くきれいに書けるペンを用意すること。インクが途切れたり、書くのに時間がかかるペンは使いづらい。私はゼブラのサラサ0.7ミリを愛用していました。色のついた別のペンで印をつけるのにも使いました。
会見が終わるころには、記事を書き始める。一からノートを読み返すことはなく、スムーズに原稿を書けます。内容や用語などの確認も容易。正確に早く記事を出すことができます。
書きながら必要な図や表、イラストなども同時に考え、本社などに発注を依頼します。必要ならわかりやすい図を会見者に求めることも必要です。
識者コメントも同時に取材します。あらかじめ、大学教授らにお願いしておいて、すぐに電話などで取材します。
仕事の質を高める「無駄のないノート」の鉄則
大切なのは、ノートを無駄な情報でいっぱいにしないことです。
すべてのやり取りをノートに書き込むのは、自己満足に過ぎません。瞬時に何が書いてあるか把握できるのが、いいノートの取り方です。
ノートに備えあれば、仕事に憂いはありません。記者会見の内容を記事にする際、メモの取り方がとても重要になってきます。
まとめ:良いノートは、書き始める前に「勝負」が決まっている
30年の記者生活で辿り着いた結論は、**「すべての言葉を書き留めるメモは、実務においては無力である」**ということです。正確さとスピードを両立させる「プロのノート術」の要諦を整理します。
- 「想定記事」を先に組み立てる 書く前に「ゴール(構成)」を決めておくことで、耳に入ってくる情報の要・不要を瞬時に判断できるようになります。
- ノートは「思考のインデックス」にする 一言一句を追うのではなく、リード(結論)、補足、重要箇所などの「役割」を印や色ペンで視覚化し、一目で全体像を掴めるようにします。
- バックアップと文明の利器を活用する 細かな事実確認はレコーダーや生成AIに任せ、人間(あなた)は「情報の優先順位」と「構成の判断」という、クリエイティブな作業に集中してください。
会議でも会見でも、ペンを動かすことが目的になってはいけません。「何を伝えるべきか」という視点を持ち、ノートをスマートに整理することで、アウトプットの質と速度は劇的に変わるはずです。



