【記者の速記術】会議・記者会見のメモ術は「構成が9割」

fourier1

記者会見の内容を記事にする際、メモの取り方はとても重要になります。

ノートを見た瞬間に、何が書いてあるかを把握し、構成を整理してすぐに記事にしていく。締め切り時間をにらんでのタイトな作業になります。

ノートがすっきりとわかりやすくまとめてあれば、記事にするのは非常にスムーズです。逆に、書きなぐっていて、どこに何が書いてあるのか確認しなければいけない状況なら、作業は大幅に遅れます。

どのようにノートを取れば、正確に早く記事化できるでしょうか。

結論から言えば、書く前に頭の中で記事の構成を考え、それに沿って必要な箇所を聞いてまとめていくことです。準備がすべて。これができれば、早く効率的に記事や報告書が出せますし、質問の内容もぐっと質の高いものになります。

一般企業の会議での報告書やまとめ文書、広報や社内報を作成するときも同じです。ノートを効率よく取るか取らないかで、仕事に大きな差が出ます。

なぜ「速記」はムダなのか? 記事化を遅らせる従来のメモ術

私が東京社会部にいたころ、厚生労働省や国土交通省、首相官邸の会見で、他社の記者たちがノートパソコンに向かって内容を必死に打ち込んでいるのをよく見ました。

それは速記と同じ作業です。しかし、そのまま記事にしているわけではありません。ただ、話された内容を忠実に文字に起こしているだけです。

私も一度、試したことがありますが、どこに何が書いてあるのか、さっぱりわからない。後で読み直して、何を言っていたのかを確認しなければいけない。かなり無駄な作業だと感じました。

プロの記者流!正確に早く記事化するための「構成先行型」メモ術

事前準備:会見前に「想定記事」を頭の中で組み立てる

良いメモを取るためには、事前に会見で話されることを想定し、頭の中で記事をつくってしまうことです。その想定記事を基に会見を聞きます。

現場での選別:必要な情報だけを記し、ノイズを無視する

記事にするのに必要なところだけをノートに記し、ポイントや意義を書き込みます。それた話は無視し、必要な話だけをメモにしていく。記事を想定していれば、ほしい話について自ら質問し、メモに落とし込むことができます。

途中で、別の話がニュースだとわかったら、頭の中で記事の構成を差し替えます。新しい方針のもと、必要な内容のみ書いていくのです。

ノートに「役割」を書き込む:リード、補足、重要個所を明確化

ノートには関連性のあるものに同じ印をつけたり、重要度を示したり、リードに必要な項目を書きだしたりします。記事化する際の役割も書き込んでいきます。

会見が終わるころには、頭の中で記事はできあがり、それをパソコンで書くだけの状態になります。重要箇所は印がついているので、事実関係の確認作業もぐっと楽になります。

バックアップ体制:レコーダー活用と生成AIによる効率化

めったにありませんが、聞き流したことが重要な場合があります。念のためバックアップとして電子レコーダーで録音も同時にします。

記録としてやりとり全文を求められたときは、後で**生成AIで文章化すれば事足ります。**少なくとも記者が全文をパソコンに打ち込む必要はないのです。

【具体例】火薬工場爆発事故会見から学ぶ実践的なメモの取り方

具体例として、火薬工場の爆発事故に関する会社の会見について見ていきましょう。

一報は警察からの発表で記事化されているので、会社の会見は原因が中心となると予想します。「○○事故で、原因について、○○だったことが分かった。〇会社が〇日の会見で明らかにした」とのイメージで、それに沿った内容を中心にメモを取っていきます。

原因のくだりでは、事故の場所、構造、点検、老朽化、過去に問題はなかったのか、安全対策はきちんとなされていたのか、といった点に注目します。

記事に必要なところは、どんどんノートに記していきます。会見中にどの項目が重要なのか優先順位をつけていくことも重要です。

その際に早くきれいに書けるペンを用意すること。インクが途切れたり、書くのに時間がかかるペンは使いづらい。私はゼブラのサラサ0.7ミリを愛用していました。色のついた別のペンで印をつけるのにも使いました。

会見が終わるころには、記事を書き始める。一からノートを読み返すことはなく、スムーズに原稿を書けます。内容や用語などの確認も容易。正確に早く記事を出すことができます。

書きながら必要な図や表、イラストなども同時に考え、本社などに発注を依頼します。必要ならわかりやすい図を会見者に求めることも必要です。

識者コメントも同時に取材します。あらかじめ、大学教授らにお願いしておいて、すぐに電話などで取材します。

まとめ:仕事の質を高める「無駄のないノート」の鉄則

大切なのは、ノートを無駄な情報でいっぱいにしないことです。

すべてのやり取りをノートに書き込むのは、自己満足に過ぎません。瞬時に何が書いてあるか把握できるのが、いいノートの取り方です。

ノートに備えあれば、仕事に憂いはありません。記者会見の内容を記事にする際、メモの取り方がとても重要になってきます。

合わせて読みたい
「情報の裏側」と真偽を見抜く検証術|その情報、信じられる?数々の取材から新聞記者が明かす
「情報の裏側」と真偽を見抜く検証術|その情報、信じられる?数々の取材から新聞記者が明かす
合わせて読みたい
「読まれるインタビュー記事」の作り方──新聞記者が語る“質問力”と準備の極意
「読まれるインタビュー記事」の作り方──新聞記者が語る“質問力”と準備の極意
合わせて読みたい
新聞記者の結婚事情とは?社内・同業他社との結婚・取材先との出会いまで解説
新聞記者の結婚事情とは?社内・同業他社との結婚・取材先との出会いまで解説

ABOUT ME
シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
主要マスコミに勤務。記者、デスクとして東京、大阪、地方での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
Recommend
こんな記事も読まれています!
記事URLをコピーしました