新聞社の未来はどうなる?SNS、テレビとの格差、都心の不動産活用、事業拡大、生き残り戦略は

テレビモニターの画像。新聞社の未来は混とんとしている。テレビ局と比べてSNSやコンテンツ力で大きく遅れている
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オールドメディアと言われた新聞社は今後、どうなるのか。

若者を中心に新聞離れが進み、SNSによる情報の爆発的な拡散で、情報は無料で、ネットに集中するようになった。新聞社もネットで有料記事を配信しているが、収益化には程遠い。

経営の多角化として、一等地に所有する不動産ビジネス、スポーツ事業、紙以外の配信事業、人気コンテンツの発掘に力を入れるようになりました。

一方、同じくオールドメディアと言われたテレビ局は、業態をアニメやコンテンツ、教育事業まで広げることで収益を増大させ、低迷を脱却しつつある。

これからメディアを目指す人、転職や別の業界に移ろうと考える新聞社勤務の人は、どの道を選択したらいいのか。

新聞社で生きていくなら覚悟がいります。

参考になればと、30年以上新聞社で、記者、デスク、支局長を務める筆者が、SNSとテレビを比べながら新聞の今後を占いました。

新聞社の今後:部数減少とネット戦略の限界

新聞の発行部数は年々減少。SNS全盛の時代、新聞社はネット対応の遅れが目立ちます。

  • 記事の有料配信 → 記事をネットやXなどで有料配信しているが利用者は伸びていない
  • YouTube配信 → 動画が20万再生されることもあるが収益には直結せず
  • 経済に特化した有料記事 → 大きな成果を出せず

私が勤務する新聞社では、講師を招いてネットビジネス研修会も開いていますが、効果はいまひとつ。講師は専門用語と横文字ばかり出して、ネットをめぐる現状を説明するだけ。

課金モデルの具体策は「これから検討が必要」と示しません。内容は情報商材レベル。

これが新聞社の実情です。ただ、週刊文春電子版の編集長による社内講演のときは、参考になりました。

文春の電子メディアは、紙媒体と役割分担して相乗効果を狙っています。その結果は皆さんご存じの通りです。

それでも新聞社が扱うニュースやスタイルとは違うような気がしました。

新聞社は紙媒体中心のビジネスモデルからの転換は容易ではありません。そのための人材も育っていません。

テレビ局の現場:人員と資源の余裕

一方、テレビ局の現場は人員も資源も豊富です。私は準キー局に移る話がありました。テレビ局員と仕事の打ち合わせをし、局内について説明を受けました。

私の事情で今の新聞社に残ることになったが、テレビ局との違いを実感しました。

私が見た準キー局では、人が多く、余裕があると感じました。

  • 報道フロア → 約100人が働き、中継モニターのチェック担当だけで10人近く
  • 動物園での30分番組中継 → 50人のスタッフと10台のカメラを投入

効率面で疑問はありますが、それだけ体力があるともいえます。

テレビ局の強み:コンテンツの二次利用

テレビは自社コンテンツを多角的に展開しています。主なのは次の通り。

  • 見逃し配信サービス(TVerなど)
  • 映画化、DVD化、ネットフリックスなどへの提供
  • 海外へのアニメ販売
  • コンサートやイベント事業
  • 不動産ビジネス

新聞社も不動産投資を始めていますが、収益の柱に育つまでには至っていません。依然として新聞収入に頼っているのが現状です。

動画配信については、将棋の藤井聡太さんの対局や地域に残る犬種などを特集していますが、全体としては停滞気味。安定した収入になっていません。

アニメについても4コマ漫画ぐらいで、有力なコンテンツはありません。主催の絵画展やサーカスの事業、文化センター事業も収益を上げる構造にない。

プロ野球団経営も強化策は失敗しています。

新聞社がSNSでアクセス数を稼げるのは、国政や地方選挙のネット速報ぐらい。

人海戦術で期日前投票や投票日の動向調査をして、それを基に当選確実をネットで打ちます。投票行動の分析もします。開票作業中に一瞬、アクセスが集中しますが、手間がかかる割にその後の収益に結びつきません。

近年、新聞社は都心の一等地に多数所有する不動産事業をようやく本格化させました。効果が出るのはだいぶ先です。

ビル開発やテナント活用、開発事業への投資のほか、スポーツ事業など新聞事業以外に力を入れ始めてます。現在進行中の案件も多く、さらに安定した収益化のため新聞事業以外への投資はさらに増えていくでしょう。

転職希望者が見るべきポイント

メディア業界で転職を考えるなら、それぞれの将来性を見極めることが重要です。

  • 新聞社:紙依存からの脱却が課題。ネット人材や新規事業が社内に不足。不動産事業に軸足を移しつつある。
  • テレビ局:コンテンツの二次利用や事業多角化に強み。まだまだ成長の余地あり。

SNS時代を勝ち抜くためには、どちらも「既存の延長線上」にとどまらない新しい発想が必要です。

まとめ:新聞社は「紙」を捨て、新たな「地盤」を築けるか

オールドメディアと呼ばれて久しい新聞とテレビ。しかし、その内実を覗くと、多角化に成功しつつあるテレビ局と、旧来のモデルから抜け出せない新聞社の明暗がはっきりと分かれています。

今後のメディア業界を見極めるポイントは以下の3点です。

  • コンテンツの「二次利用」という壁  アニメや映画、配信など、一つの素材を多方面で収益化できるテレビ局に対し、新聞社は依然として「記事の切り売り」の域を出ておらず、新たな収益の柱の構築が急務です。
  • 不動産事業への本格シフト  新聞販売収入の減少を補うため、新聞社は今、都心の自社ビルなどの「一等地」を活用した不動産事業へと大きく舵を切っています。メディア企業から「不動産・開発企業」へと姿を変えつつあるのが実情です。
  • 既存の延長線上にない「人材」の必要性  形骸化したネット研修ではなく、他業界の成功モデル(文春のデジタル戦略など)をどん欲に取り入れ、新聞の「公共性」と「収益性」を両立できる新しい発想を持った人材が、生き残りの鍵を握っています。

メディア業界は今、まさに激動の過渡期にあります。新聞社がこれまで築いてきた「信頼」というブランドを、紙以外のどの媒体、あるいはどの事業へ転換していけるのか。その挑戦の成否が、これからの10年を決定づけることになるでしょう。

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報道記者
主要マスコミに勤務。記者、デスクとして東京、大阪、地方での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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