新聞記者になるにはどの学部を選ぶべきか?現役記者が語る「採用の実態」と未来の人材像

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新聞記者を目指すならどの学部を選ぶべきか?
新聞社勤務の私が、実際の採用データをもとに解説します。

かつては法学部や文学部が比較的多い印象でした。法学部が多かったのは、事件・事故、裁判、行政、議会などの取材で法的知識が役立つためです。文学部は文章力や思考力を評価されていたのでしょう。

しかし実際には、商学部、経済学部、社会学部、神学部など幅広い学部出身者がおり、大学院出身者も珍しくありません。原発事故やノーベル賞関連の取材では、理学部や工学部出身の記者が大きな力を発揮しています。

近年は大学側の学部再編が進み、情報系や文理融合型の学部が増えたことで、採用される学部の多様化がさらに進んでいます。生成AIを学ぶ学部や、メディア系の学部出身者も目立つようになりました。

結論は、どの学部でも採用されるが、今後は「情報系」と「文理融合」が強い。

学部選びや進路選択の参考にしてください。

■ 2025年度の採用実例から見る「学部の多様化」

私が勤務する新聞社の2025年度の新入社員の大学および大学院の学部学科や研究科の内訳です。

文学部人文学科3 法学部法学科2 理工学部ソフトウェア工学科2 文化構想学部 文学部民俗学考古学専攻 大学院人間科学研究科 情報通信学部 文学部 人文社会学部 産業社会学部 人文社会科学部 外国語学部フランス語圏専攻 経済学部経済学科 大学院国際協力研究科 法学部政治学科 人文社会学群行政政策学類 法学部 人間社会学域人文学類 文学部哲学科 情報学部情報社会学科 院文学院人文学専攻 現代心理学部映像身体学科 人文社会学部現代社会学科 健康科学部福祉工学科 国際教養学部国際教養学科 社会学部教育文化学科 メディア造形学部映像メディア学科 

一見して内容が想像しにくい名称の学部もありますが、学生の研究領域は多岐にわたっています。

採用は記者や写真記者だけでなく、販売や広告、システム部門も含まれ、理工系や映像系の学生が入社するケースも増えています。

前年の24年度は、法学部、文学部、教育学部、経済学部、社会学部、産業社会学部、情報学部、国際関係学部が中心でした。

25年度は、24年度と比べても採用された学部は大きく広がっており、社としての採用方針が変化していることが分かります。

背景には、SNS・ネットメディアの拡大や報道のDXがあり、人々のライフスタイルが激変していく中で新聞社も多様な人材を求めるようになったことがあります

■ どの学部が“有利”なのか?

では、どの学部が“有利”なのか?

結論からいうと、
明確に有利な学部は、今は存在しません。

代わりに求められているのは、

文理をまたいで学ぶ姿勢、専門分野を一般の読者にわかりやすく伝える力、IT・データ・AIリテラシー、変化し続ける社会への好奇心 入社後も学び続ける意欲です。

科学技術分野だけでも、AI、核融合、量子コンピューター、再生医療など急速に発展しており、記者にも専門性と理解力が求められています。

「難しいことをわかりやすく翻訳する力」を持った文理融合型の人材は、さらに重宝されます。

■ 大学時代にやるべきこと

どの学部にいるかよりも、次の力を養っておくことの方が重要です。

他分野への興味を持ち続ける、副専攻や他学部の講義を積極的に受ける、本、講義動画、公開講座、AIツールで学び続ける、文章力・要約力を鍛える、分かりやすく説明する習慣を作るー。

情報発信の形が多様化している今、記者は「横断的な知識を持つ専門的ジェネラリスト」である必要があります。大切なのは、新聞社に入社してからも学び続けること。仕事に追われる中でも知識をアップデートしていくべきです。

■ まとめ:学部より「学び続ける姿勢」が新聞記者には必須

新聞社は今、大きな転換期を迎えています。SNS、動画、生成AIなどの新しいメディア環境に対応するため、採用する人材も急速に多様化しています。

重要なのは、
どの学部にいても“あとから学べる力”を持つこと。

そして、
難しい世界をわかりやすく伝える使命感と好奇心。

その姿勢が、これからの新聞記者に求められる最も重要な資質です。

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シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
マスコミに勤務。記者として東京、大阪での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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