記者の裁判傍聴記|裁判長と記者席で起きた異例の出来事

裁判傍聴といえば、テレビドラマのように厳粛で秩序ある場面を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実際の法廷では思いもよらない出来事が起きることがあります。
私は記者として、全国の裁判所で数多くの法廷を取材してきました。本記事では、ある地方裁判所で経験した「裁判長の意外な行動」と「記者席で起きたハプニング」を、実体験に基づいてお伝えします。
裁判長は本当に公正か?傍聴で見た驚きの行動
私が30代前半、近畿地方で「〇〇カレー事件」の地裁判決を取材したときのことです。判決言い渡しの瞬間、記者席から一人のテレビ局員が出口に向かって走っていきました。おそらく地裁前に待機しているテレビカメラの前で速報を伝えるためでしょう。
判決要旨を回収?裁判長の異例の命令
閉廷後、記者室で判決要旨を受け取り、記事を書き始めたところ、地裁職員が入ってきて「判決要旨を回収します」と告げました。理由は、先ほど走ったテレビ局員の行動に裁判長が激怒し、「走った本人が名乗り出るまで全員から要旨を回収する」と命じたからです。
私は静かに傍聴していたにもかかわらず、他社も含めて全体責任を取らされました。こんなことは取材人生で初めてでした。
テレビ局員の申告と要旨の返却
結局、2時間後にテレビ局員が名乗り出て、要旨は返却されました。しかし、裁判長の対応は子供じみており、公正さに疑問を感じざるを得ませんでした。
1カ月で2度の無罪判決という異例
デスクになってからは、関東地方の地裁支部で再審無罪の取材を経験しました。強盗致死罪で有罪が確定し刑期を終えた男性2人が、再審で無罪となったのです。しかもこの裁判長は、着任からわずか1カ月の間に別の事件でも無罪判決を出していました。一つの地裁で短期間に2度の無罪判決が出るのは異例中の異例です。
酷似した判決文とその疑惑
さらに驚いたのは、1カ月前の判決文と再審無罪判決文が書式や論理展開まで酷似していたことです。まるで再審判決を書くための練習をしていたかのように感じました。その後、この裁判長は高裁へ戻っていきました。
市民が裁判傍聴に関心を持つべき理由
民事を含め、実際に裁判を傍聴していると争点がぼやけ、やり取りが核心から逸れる場面が多く見られます。証拠調べが十分でないまま判決が下されることも少なくありません。これが冤罪の多さにつながっているのではないでしょうか。
市民がもっと裁判を傍聴し、関心を持つことが、司法をより健全にする一歩になるかもしれません。