日本の建築物は本当に安全か?耐震偽装・大事故の歴史から見える“構造的な問題”と私たちができること
日本では、建物やインフラに関する事故が後を絶ちません。
・神戸ではビルのエレベーターが故障し、男性が転落する事故が発生
・能登半島地震では、鉄筋コンクリート造の建物が横転し周囲の民家を押し潰した
・埼玉では道路が突然陥没し、トラック運転手が犠牲に
・山間部ではソーラーパネル工事現場で土砂崩れが起き、民家を巻き込む被害も
さらに海外でも、香港の高層マンション群で大規模火災が発生し、多数の犠牲者が出ています。
私たちは「建築物は安全である」と信じて暮らしています。しかし、実際にはどんな問題が潜んでいるのでしょうか。
悲惨な事故を防ぐには、関係機関への市民の監視が欠かせません。
耐震偽装事件に見る“罪悪感なき加害者”の構造
2005年に発覚した耐震偽装事件では、一級建築士のA氏がマンションやホテルの耐震計算書を偽造した。
国の認定ソフトを改ざんし、鉄筋を減らすことでコスト削減を狙ったものでした。
その結果、震度5強ほどの地震でも倒壊の可能性がある建物が多数見つかり、住民は引っ越しや二重ローンを強いられる事態に。
A氏は国会での証言でも罪悪感をほとんど示さず、
「周囲からのコスト削減圧力に従った」
「生活のためだった」
と語り、業界全体の体質を象徴する事件となりました。
A氏の自宅に話を聞こうと訪ねましたが、いつも留守。高級車のベンツが止まっていたのが印象的でした。近所の人の話では、住民との付き合いはなかったようです。
この事件では、
・指示を出したデベロッパー
・偽装を見抜けなかった民間検査機関
にも責任があるとされました。
事件後、建築基準法は改正され、構造計算の厳格化や改ざん防止システムが導入されました。
しかし――。
基準強化後も耐震不足の建物は残り続けている
2024年の能登半島地震では、杭基礎を持つ鉄筋コンクリート造建築物が転倒する被害が出ました。
阪神淡路大震災・東日本大震災といった大災害を経験してきたにもかかわらず、
・耐震性を満たさない建物が多く残っている
・対策が進まないまま放置されるケースがある
という現実が明らかになっています。
特に都心部では、築古ビルの耐震不足が深刻で、行政の把握が追いついていない地域もあります。
原発事故にも見られた“想定しない”という設計思想の弱さ
福島第一原発事故では、非常用電源が地下にあり、津波で浸水して機能しませんでした。
・地震と津波がセットで起こり得る
・非常用電源は高所に設置すべき
・冷却系統は複数に分けるべき
という“当然の安全対策”が想定されていなかったのです。
これは建築分野全体にも通じる問題で、
「起こりうる最悪の事態を想定しない設計思想」
が事故を大きくしています。

エレベーター事故・道路陥没…老朽化も深刻な問題
エレベーター事故は過去にも複数起きており、老朽化管理の難しさが指摘されています。
また道路陥没は水道管・下水道管の老朽化が原因で増加しており、全国的に危険が高まっています。
しかし、
・調査に時間がかかる
・予算が限られている
・技術者不足
といった理由で、対策が追いつかない状況にあります。
私たち市民ができることは何か?
建築の安全性は、外から見ただけでは判断できません。
そこを業者や行政に任せきりにすると、不正が入り込む余地は残ります。
では、私たちに何ができるのでしょうか。
① 行政に情報公開を求める
耐震診断結果や安全性の根拠を公表している自治体もあります。
住んでいる地域の情報を確認しましょう。
② 建物を選ぶときに「耐震性能」を最優先にする
賃貸や購入の際、
・耐震等級
・築年数
・施工会社の実績
は必ず確認するべきです。
③ 事故の教訓を風化させない
事故や不正が起きた背景を知り、継続的に問題意識を持つことが大切です。
まとめ:建築物の安全は“行政と業者任せ”では守れない
日本の建築物は高い技術力で作られている一方、
不正・手抜き・老朽化・設計思想の甘さ
といった問題が、事故や災害のたびに明らかになってきました。
安全を守るには、行政・業者の努力だけでなく、
私たち市民の継続的な監視と意識
が欠かせません。
安心して暮らすために、建物の安全性に目を向け続ける必要があります。



