【元記者が厳選】30年の取材で見つけた「一生に一度は食べたい」ご当地グルメ3選|金沢・茨城・伊賀の秘蔵の味

fourier1

はじめに:新聞記者が足で稼いだ「本当においしい」郷土料理

新聞記者は地方に赴任した際、各地域の隠れた郷土料理に出合います。

そこでしか食べられず、驚くほどおいしい料理も少なくありません。その土地の歴史と文化が味や形に凝縮されており、その地域だけに留めておくのはもったいないとすら感じます。

私の30年の記者生活で出合った郷土料理のうち、特に印象に残ったのは、金沢の「治部煮」茨城県の「あんこう鍋」三重県伊賀市の「伊賀牛」です。

いずれも独特の風味と味わいがあり、地域で長く愛され続けています。今回は「記者の裏仕事・料理編」として、これら3つの魅力をご紹介します。

1. 加賀百万石の歴史を味わう:金沢の「治部煮(じぶに)」

金沢市の「治部煮」は、加賀料理を代表する煮物です。老舗料亭では必ずと言っていいほど供される一品で、江戸時代から続く武家料理とされています。

名前と由来の謎

「じぶ煮」の名の由来には諸説あります。

  • 考案者とされる「岡部治部右衛門」の名から取った説
  • 鍋で「じぶじぶ」と煮る擬声語から来た説

独特の調理法と味わい

大きめのそぎ切りにした鴨肉(または鶏肉)に小麦粉をまぶし、金沢特産の「すだれ麩」や季節の野菜と共に出汁で煮込みます。小麦粉が肉の旨味を閉じ込め、汁にとろみがつくため、寒い冬でも体が芯から温まります。

輪島塗の美しいお椀の蓋を開けると、お醤油の芳醇な香りと共に湯気が立ち上ります。薬味のわさびを天盛りにすることで、甘めの味付けが引き締まり、鴨肉の柔らかさと見事に調和します。金沢の地酒「天狗舞」や、炊きたての石川県産コシヒカリとの相性は抜群です。

【現地で味わえる名店】

つば甚、かなざわ石亭、金茶寮、大友楼、山乃尾、浅田屋など。

※料亭の夜席は高価ですが、ランチタイムなら手頃な価格で楽しめるのでおすすめです。

2. 冬の味覚の王様:茨城の「あんこう鍋」

「東のあんこう、西のふぐ」と並び称される高級食材、あんこう。茨城県内の平潟、大津、久慈、那珂湊などの漁港で多く水揚げされ、特に冬の常磐沖で獲れるものは「常磐もの」として市場で高く評価されています。

鮮烈だった「吊るし切り」の光景

私が水戸支局に勤務していた頃、ひたちなか市の漁港近くで見た光景は忘れられません。店の前には全長1メートルほどの巨体が三脚に逆さ吊りにされていました。あんこうは体が柔らかく表面がぬめっているため、まな板ではなく「吊るし切り」という独特の技法で捌かれます。

漁師のスタミナ源「どぶ汁」

元々は漁師が船上で食べていた「どぶ汁」がルーツ。水を使わず、あんこう自体から出る水分と肝、味噌だけで作る濃厚な味わいです。

見た目はグロテスクですが、身は高タンパク・低カロリー。さらにコラーゲンたっぷりで、肝にはビタミンAやEも豊富に含まれています。まさに美容と健康の宝庫です。

【現地で味わえる名店】

  • 海鮮レストラン 浜辺(ひたちなか市)
  • 五鐵 夢境庵(ごてつ むきょうあん)(水戸市)
  • 磯料理 山水(大洗町)

私が水戸支局に勤務していたころ、茨城県ひたちなか市の漁港の近くの店にあんこう鍋を食べに行きました。店に入ると、コースであんこ料理が次々と運ばれます。あんこう鍋をメインに、あん肝、あんこう共酢、あんこうソテー、あんこう唐揚げ、おじや、香の物のあんこうづくし。

3. 知る人ぞ知る幻の肉:三重県の「伊賀牛」

三重県の牛肉といえば「松阪牛」が全国的に有名ですが、私が伊賀市に赴任した際、地元の方から「松阪牛より旨い肉がある」と教わったのが「伊賀牛」でした。

なぜ「幻の肉」と呼ばれるのか

伊賀牛は、伊賀・名張両市で大切に育てられた黒毛和種の未経産(出産を経験していない)メス牛です。

  • 年間出荷頭数が約1,300頭と非常に少ない
  • その約8割が伊賀地域内で消費される

そのため、県外にはほとんど出回らない「幻の肉」と呼ばれています。松阪牛に比べて脂身がしつこくなく、身が引き締まっていて、噛むほどに赤身の旨味が広がります。

歴史に裏打ちされた品質

伊賀牛の歴史は古く、昭和初期には近江牛の「素牛(もとうし)」として出荷されていたほど。豊かな水と盆地特有の寒暖差がある伊賀の風土が、この極上の肉を育んでいます。

【伊賀牛を堪能できる名店リスト】

店名所在地電話番号
寿き焼 金谷伊賀市上野農人町0595-21-0105
森辻伊賀市上野車坂町0595-21-0760
焼肉レストラン 奥田名張市鴻之台0595-64-1780
ステーキハウス Grazie伊賀市上野丸之内0595-51-0783

まとめ:食から地域の歴史を紐解く旅へ

金沢の治部煮、茨城のあんこう鍋、三重の伊賀牛。

これらはいずれも、その土地の風土や歴史が育んだ唯一無二の絶品料理です。

ただ「食べる」だけでなく、その背景にある文化を知ることで、旅の味わいはさらに深まります。皆さんもぜひ、これら「本物の味」を求めて現地を訪れてみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
主要マスコミに勤務。記者、デスクとして東京、大阪、地方での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
Recommend
こんな記事も読まれています!
記事URLをコピーしました