リーマン物語①
fourier1
リーマン物語
この言葉は上司や先輩からしつこいくらい聞かされた。その度に嫌な気持ちになる。社員をさぼらせないようにする呪いの言葉だ。部下のいい仕事や振る舞いなんて彼らは気づいていない。失敗や悪いところについては、すぐに見つけて攻撃してくるくせに。人は悪いことの方が目に付くのだ。
管理職ほど自分たちが部下にじっくり見られていることに気づいていない。自分をいい上司と思い込み、後輩から評判がすごく悪いのに自分に寄ってくる外面のいい社員を登用したがる。外面のいい彼らだが、役職を受けたとたん横柄になり、パワハラやセクハラで問題を起こす。社内では反省もなく同じことが繰り返されている。
仕事や成果を編集幹部たちにアピールし、幹部が好きそうな店も予約するなど気に入られようと頑張っていた同僚がいた。周りからも好人物と映り、主要な部署で働き、次の役職が約束されているように見えた。その編集幹部たちが本社から根こそぎいなくなり、編集局は以前とは違う分野の幹部たちで固められた。前幹部グループの一人とみられた同僚は、地方の支局長に異動になった。望まなかった職なのだろうか。それ以降の彼の評判がよくない。事情を知る社員に聞くと「支局長は支局のサポートはほとんどせず、ベテラン支局員は休めない。陽気で優しいイメージだったが変わってしまった」とのこと。前任者と違って本社地方版デスクともほとんど話をしない。幹部が変わったことがショックで、やる気をなくしてしまったのだろうか。
努力が報われないケースである。
」