社会人が国立大理学部に入学して感じたギャップ|授業、研究室、院生との対話まで徹底レビュー
社会人になってから大学で学び直す人が増えています。
私もその一人で、新聞記者としての幅を広げるため、そしてサイエンスコミュニケーションの基礎を体系的に学ぶために大学へ戻る道を選びました。
本を読むだけでは、疑問を深く掘り下げることができない。
研究者の講演会や科学館に足を運んでも、知識の核心に触れるのは難しい。
そこで私は、 研究者と直接会い、質問し、つながりを作りたい と考え、今年の秋から国立大学理学部物理学科の聴講生として「量子力学Ⅰ」と「一般相対論」の2科目を履修しています。
通い始めて2カ月。
大学は決して甘くはない という現実に直面しています。
大学の現実:閉鎖性・不親切さ・専門分化への戸惑い
実際に大学に入ってみると理想とは大きく違いました。
大学は驚くほど閉鎖的で、教務も教員も不親切。特に宇宙物理学の分野は細分化され、担当者によって言うことが違うことも少なくありません。
異なる理論同士の対立も根深く、文系出身の私には迷路に迷い込んだような感覚でした。
それでも、図書館やレストラン、博物館などのキャンパス施設は自由に利用でき、環境面の魅力は十分に感じられます。
ICT化された講義に衝撃
量子力学と一般相対論の現場
「量子力学Ⅰ」は2年次科目で約200人が受講。
「一般相対論」は100人ほどの受講生がいました。
驚いたのは学生の集中度の高さ。私語もなく、全員が真剣そのものです。
さらに、学びは完全にICT化されていました。
- ノートは事前にオンライン配布
- タブレットに電子ペンで書き込み
- 質問はオンラインで可能
- 1〜2日以内に教授が返信
私が学生だった頃の紙とペンの時代とはまったく違い、効率性が徹底されています。
大学院生との対話で見えた“研究の最前線”
毎週水曜の夕方には、大学院生が学部生の相談に乗る「カフェ」が開かれます。
ある日そこを訪ねると、物性物理を研究する院生2人が対応してくれました。
彼らは 常温での超電導 という最先端のテーマに挑戦しており、成功すればエネルギー効率が劇的に向上するといいます。
さらに量子コンピューターについても、
「誤り訂正に膨大なコストが必要で、今はレッドオーシャン」
と、専門家ならではのリアルな意見を聞けました。
トヨタなど大企業に行ける実力を持ちながら、研究の面白さを理由に大学に残っているという話も印象的でした。
研究環境は宝の山
日常に学会、講演会、研究室がある世界
理学部の建物には、宇宙線、素粒子、ブラックホール、ニュートリノなど多様な研究室が並んでいます。
構内には学会や講演会の案内が数多く掲示され、希望すれば参加できます。
新しい知識に触れられる環境が常に広がっています。
ただし、大学院生向けの特別講座は、学部生は聞くことはできません。

しかし、私が学びたい“宇宙の始まり”にはたどり着けない
そして戦略の練り直しへ
私が深めたいのは「宇宙の始まり」についての理論。
しかし、受講後に担当教授へ相談したところ、専門外ということで対応してもらえませんでした。
「どこで学べるのか」
そう尋ねても明確な答えは返ってこず、この大学ではその分野が手薄であることがわかりました。
ここで私は戦略の練り直しを決意します。
- 図書館での独学
- 日本物理学会の講演会参加
- 外部の勉強会や市民向けセミナーの活用
大学の枠にとらわれず、外の世界も視野に入れながら学び直しを続けていこうと思っています。
まとめ:大学でしか得られない「知の縦のライン」
大学では、体系的な講義、研究者との距離、最先端の環境という「縦のライン」を体感できます。
しかし同時に、閉鎖性や専門の細分化、情報の扱いにくさなど、外からは見えない壁にも直面します。
学び直しの道は甘くありませんが、確実に世界が広がっていく実感があります。
この続きは、またブログで報告します。



