リーマン物語⑭
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リーマン物語
ノーベル物理学賞受賞者の展示室もある市立科学館に行き、物理担当の学芸員に量子力学について聞いた。一年前にブラックホールなどについて質問をしたとき「微分積分がわかっていないと理解できないよ」と言われたので、勉強してから再度訪ねた。関連してシュレディンガー方程式について聞くと、学芸員は「展示物以外は説明できない。知りたいなら大学に行って」と冷たい態度を示した。どちらにしても市民の疑問に真摯に相手する気がないと感じた。数冊の入門書をすべて読んだが、めちゃくちゃ難しい。習っていない統計力学やガウス積分も出てきて訳が分からない。仕方なくAIジェミニの解説とヨビノリの動画で、理解に努めた。くじけそうになった量子力学だが、わかり始めると面白い。虚数なんて何の役に立つのかと思っていたけど、シュレディンガー方程式を見て合点がいった。
勉強するきっかけは、会社の変化にショックを受けたから。宇宙から見たらごく小さい問題に見えると思いたかった。しかし、本を読んでいくうちに宇宙の謎の方がよっぽど気になってきた。知りたくて仕方がない。まてよ。学ぶことで科学の問題をわかりやすく伝えることにつながるかもしれない。サイエンスコミュニケーターの道も開けてきそうだ。そう思い、秋から国立大理学部で聴講生として量子力学と一般相対論を学ぶことにした。職場の環境は信じられないくらい変わったけど、おかげで新しいことに挑戦するチャンスをもらった。いろいろあったが前向きになれそうだ。