新聞社とテレビ局の未来は?SNS時代にどう生き残るのか

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新聞社とテレビ局、明暗を分ける生き残り戦略

SNS全盛の時代、新聞社とテレビ局は「オールドメディア」と呼ばれ、将来が問われています。両者を比較すると、テレビの方がコンテンツ販売を意識し、先に進んでいるように見えます。一方で新聞社はネット対応の遅れが目立ちます。

新聞社の苦戦:部数減少とネット戦略の限界

新聞の発行部数は年々減少。ネット対応はまだ発展途上です。

  • 記事の有料配信 → 記事をネットやXなどで有料配信しているが利用者は伸びていない
  • YouTube配信 → 動画が20万再生されることもあるが収益には直結せず
  • 経済に特化した有料記事 → 大きな成果を出せず

私が勤務する新聞社では、講師を招いてネットビジネス研修会を開いていますが、効果はいまひとつ。講師は専門用語と横文字ばかり出して、ネットをめぐる現状を説明するだけ。課金モデルの具体策は「これから検討が必要」と示しません。内容は情報商材レベル。

これが新聞社の実情です。ただ、週刊文春電子版の編集長による社内講演は、参考になりました。文春の電子メディアは、紙媒体と役割分担して相乗効果を狙っています。その結果は皆さんご存じの通りです。それでも新聞社が扱うニュースやスタイルとは違うような気がしました。

紙媒体中心のビジネスモデルからの転換は容易ではありません。そのための人材も育っていません。

テレビ局の現場:人員と資源の余裕

一方、テレビ局の現場は人員も資源も豊富です。私が見学した準キー局の場合

  • 報道フロア → 約100人が働き、中継モニターのチェック担当だけで10人近く
  • 動物園での30分番組中継 → 50人のスタッフと10台のカメラを投入

効率面で疑問はありますが、それだけ体力があるともいえます。

テレビ局の強み:コンテンツの二次利用

テレビは自社コンテンツを多角的に展開しています。

  • 見逃し配信サービス(TVerなど)
  • 映画化、DVD化、ネットフリックスなどへの提供
  • 海外へのアニメ販売
  • コンサートやイベント事業
  • 不動産ビジネス

新聞社も不動産投資を始めていますが、収益の柱に育つまでには至っていません。依然として新聞収入に依存しているのが現状です。

動画配信については、将棋の藤井聡太さんの対局や地域に残る犬種などを特集していますが、全体としては停滞気味。安定した収入になっていません。

アニメについても4コマ漫画ぐらいで、有力なコンテンツはありません。主催の絵画展やサーカスの事業、文化センター事業も収益を上げる構造にない。持っている資産で活用できそうなものは見つかっていません。

SNSでアクセス数を稼げるのは、国政や地方選挙のネット速報ぐらいでしょうか。ただし、収益に結びつきません。

転職希望者が見るべきポイント

メディア業界で転職を考えるなら、それぞれの将来性を見極めることが重要です。

  • 新聞社:紙依存からの脱却が課題。ネット人材や新規事業が不足。
  • テレビ局:コンテンツの二次利用や事業多角化に強み。まだ成長の余地あり。

SNS時代を勝ち抜くためには、どちらも「既存の延長線上」にとどまらない発想が必要です。

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シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
マスコミに勤務。記者として東京、大阪での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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