新聞記者に向いている人、向いていない人 ──マスコミ志望の人へ 現場で見た必要な3つの資質とは
新聞記者に向いている人・向いていない人の違いは何か。
「人の話を聞ける力」「仕事の理解力」「一貫した思考力」という3つの資質を持っているかどうかだと思います。
支局長やデスクとして現場を見てき私の経験から若手記者の例を交えながら説明します。
向いている人の共通点
新聞記者に向いている人は確かにいます。
私の経験上「向いていない人」はもっとはっきりしています。
多くの人は努力次第で記者として通用しますが、あるタイプの人だけは難しい──それが私の実感です。
向いている人には共通点があります。
それは次の3点です。
- 人の話を聞き、質問できる人
- 記者の仕事を理解している人
- 一貫して物事を考えられる人
順を追って説明します。
人の話を聞き、質問できる人
あたり前に思えるこの力が、意外とできない若い記者がいます。
入社1年目の女性記者Aは、本人の希望で、興味がある分野を取材してもらうことになりました。
ところが、彼女から「人にどうやって話を聞いたらいいか分からない」と相談を受けました。
取材相手の話を一方的に聞くしかできなかったようです。
そこで私は、
- 取材前に相手の情報を調べ、質問を準備すること
- 面白い話が出たら、さらに深掘りすることをアドバイスしました。
相手も心を開き、良い話を引き出せることが多い。
Aは勉強はできるタイプでしたが、それが理解できず、苦手を克服できませんでした。相手の話を一方的に聞くだけでした。
その後、希望して赴任した地方支局で半年ほど記者として働きましたが、うまくいかずに退職しました。
「気おくれしたり、人に質問ができない」タイプは、記者には向かないのかもしれません。

記者の仕事を理解している人
私が支局長を務めていたときの、20代前半の男性記者Bの例です。
ある事件・事故の取材で、容疑者の手口や動機を警察に確認するよう指示しました。
しかしBは「そんなの聞いてどうするんですか」と拒否。
私は説明しました。
「手口は類似事件との関連や防犯の参考になる。動機も、転売目的など組織犯罪なら社会問題の解明につながる。それを伝えるのが新聞の役割だ」と。
それでも彼は納得しませんでした。
別の取材でも同じようなことがありました。
高校生作文コンクールの受賞者取材で、作中の人物や背景について詳しく聞くよう指示したところ、「高校生にそこまで聞くのはかわいそう」と反発しました。
作文は、弟の病気を通して成長した自分を描いた内容。
作品を世に出した以上、本人には公になる覚悟はあるはず。
しかも、学校側から正式に取材を依頼されていたのです。
弟の病気の時期などについて、ある程度は聞けるはず。
結果、他紙はしっかりと核心に迫った記事を掲載していました。
新聞の使命は、読者に分かりやすく深い記事を届けること。
その意識がなければ、取材相手の懐に入り、信頼される記事を書くことはできない。
一貫して物事を考えられる人
記事を書く上で最も大切なのは、一貫した考え方。
何を書きたいのかを最初に決め、筋道を立てて構成する力が求められる。
地方支局にいた20代前半の男性記者Cの例です。
彼は木工職人の作品展の記事を書きました。
前半は職人や作品を紹介していましたが、
記事の締めくくりに突然、隣で開催されていた別の展示会の写真家のコメントを入れてきました。
「私の◯◯な写真展を見てほしい」──それが記事のラストの一文でした。
読者は混乱します。木工展の話がいつの間にか写真展になっていたからです。
別の記事では、海の家の開設を取材した際に、
海辺に立つフィリピン人女性の写真を送ってきました。
取材相手は男性店主。記事の内容とも関係がありません。
写真は記事を補足し、理解を助けるためにあるもの。
内容と一致していなければ、読者を混乱させるだけ。
Cは高校時代、野球部に所属していたのですが、
野球記事では完投勝利した投手のヒーロー記事を、打撃のみで書いてしまうなど、主題を見失うことがよくありました。
一貫して物事を考える力は、教えて身につくものではありません。
まとめ:誰でも記者になれるが、向き不向きはある
ここまで挙げた3つの点──
- 人の話を聞ける
- 記者の仕事を理解している
- 一貫して考えられる
このことさえクリアーできれば、ほとんどの人に記者の資質はあります。
興味と情熱があれば、記者の世界で活躍できると思います。
私自身、多くの若手を見てそう感じています。



