自分を特別だと思う人や嘘をつく人はメディアは避けるべき|現場から見えた3つのタイプ

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震災直後、彼は言った。

『自分は特別だから危険地帯に行けない』——

マスコミの仕事に向かない人は、はっきりしています。
私の記者・デスク・支局長・統括デスクとしての経験から言えば、
次の3タイプの人です。

  1. 自分を特別だと思っている人
  2. ウソをつくことにためらいのない人
  3. 2つ以上のことが重なるとパニックになる人

それぞれ、具体的な事例をもとに説明します。

① 自分を特別だと思っている人

東日本大震災のとき、北関東の被災地で支局デスクをしていたときのことです。
「自分は特別な存在だ」と思い込む中堅記者Aがいました。

震度6強の揺れに襲われた直後、私は支局長と手分けして、支局員の安否確認を行いました。
ほとんどの記者と連絡が取れましたが、Aだけは通じません。
支局の入るビルが損壊し、私たちも10キロ離れた県庁記者室に避難しました。
その間に判明している情報を記事にまとめ、本社に送りました。

夜になってようやくAと連絡が取れましたが、
彼は「自分は特別な存在で、こんな危険な場所では取材できない」と言い放ちました。ずっと自宅近くの車の中で避難していたようです。

しばらくすると、Aは本社幹部に直訴し、わずか1カ月足らずで東京の安全な部署へ異動しました。

彼は私たちに説明したいと話し合いの場がもたれ、K〇大卒で、特別な存在であることなどをを延々と説明してくれました。同僚のベテラン女性記者は、それを聞いて激怒していました。

記者には災害現場の取材は避けて通れません。
もちろん危険を冒してまで行く必要はありませんが、
被災地の人々に寄り添い、ともに乗り越えようとする姿勢は欠かせません。
それが“伝える仕事”の原点だと私は思います。

他の記者たちは、危険を避けつつも懸命に取材に奔放してくれました。ただ、福島第一原発事故の状況を見ながらいつでも支局員たちが他県へ避難できる準備は進めていました。

② ウソをつくのにためらいのない人

最も困るのが、ウソをつくことにためらいのないタイプです。
記事を捏造することは、記者として致命的です。

本社社会面の連載取材で、実際にはなかった話を書いた中堅記者Bがいました。
取材相手から指摘を受け、Bに確認したところ最初は否定しましたが、
調べを進めるうちに意図的な捏造であることが判明しました。
その結果、記者は処分され、新聞社は見開きで検証記事を掲載する事態に。
信頼を根底から失う結果となりました。

調査を進めると、彼の過去の記事には前年と同じ内容を使い回していたり、
取材せずに作文していたと思われる記事も多く見つかりました。
驚くべきことに、本人には罪悪感がまったくなかったのです。
堂々としているため、一見すると優秀に見える。だからこそ厄介なタイプでした。

大学も日本で一番難しいことろを出ていました。それだけに周りは疑わなかったのかもしれません。

③ 二つ以上のことが同時にできない人

もう一つのタイプは、「同時進行が苦手な人」です。
取材しながら写真を撮ることができない。
事件・事故現場で、状況を把握しつつカメラを構えることができない。

高校野球の試合取材では、ボールの動き、打者や走者のプレーが連続するため、
観察しながら記録を取る必要があります。
それができず、途中で混乱して倒れた記者もいました。

記者の仕事は、目の前で刻々と変化する出来事を追うものです。
その中で優先順位をつけ、状況を判断し、本社デスクと連携して取材・執筆を進める。
ある程度の“並行思考力”が欠かせません。

あと誘惑に弱い性格もよくありません。アルコール依存症で事件事故を起こしたベテラン記者や支局長は、新聞社に取り返しのつかないダメージを与えます。週刊誌には犯罪天国の新聞社と揶揄されました。

まとめ

これら3つの傾向を、自分自身と照らし合わせてみてください。
おのずとマスコミに向いているかどうかが分かると思います。

もちろん、これらの性格が「悪い」ということではありません。
単に、マスコミの仕事には不向きというだけです。
それぞれの特性に合った職業を選び、ストレスの少ない環境で力を発揮してほしいと思います。

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シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
マスコミに勤務。記者として東京、大阪での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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