テレビドラマが全盛だったころ 自分の仕事もうまくいくように思えた

「101回目のプロポーズ」「東京ラブストーリー」「ひとつ屋根の下」。20代のときに私が夢中になったテレビドラマです。放映をリアル時間では見ていないが、いずれもうわさを聞いてビデオを借りて見ていました。
成長に励まされ、友のやさしさに癒された
主人公は特別な能力を持つヒーローではなく普通の若者。不器用で失敗ばかり。理不尽さに一緒に涙したり、成長に励まされ、友のやさしさに癒されました。私たちと同じ目線で物語は進んでいった。クライマックスにはポップな音楽が流れる。今までに見たたことがなかった。ドラマのプロデューサーは大多亮氏でした。話題のドラマに込めた思いを会って聞きたくなった。彼の著書「ヒットマン テレビで夢を売る男」も読み、いっそうその気持ちは強くなりました。
北の国から
30代前半の記者だった私は、ドラマに共感する若者たちの特集記事を企画し、大多氏に取材を申し込みました
かなり熱を持ってフジテレビにお願いした。しかし、応じてくれたのは北の国からのプロデューサーでした。今、考えればすごいこと。感謝しかありません。彼にトレンディードラマの狙いやドラマの力について聞きました。
「ドラマは思いだけではつくれない」として、彼は視聴率の問題やスポンサーの意向に左右されることを詳しく説明してくれました。
作り手の熱い想いを期待していましたが、彼は極めて現実的でした。大多氏のドラマには肯定的でないようにも感じました。
ドラマから想像していたイメージ
今年、フジテレビの問題が世間を騒がしました。その余波で大多氏は就任したばかりの関西テレビ社長を辞任した。第三者委員会の調査で、彼は被害者女性への対応の責任や社内での行動が問われました。ドラマから想像していたイメージとは違った。
それでも人はドラマを見ます。物語を本能的に求めているのかもしれません。想像すること、登場人物に自分を投影すること、共感することを通して、現実の生活をより豊かにすることに役立てているのかもしれません。
リーダーも物語を語ることで人はついていきます。彼が描く近未来に共感するからです。混迷の時代、ドラマはますます求められているのかもしれません。
熱狂的なブームに躍らされれないこと
ただし、ドラマの演者や作り手と実際の姿は別ものかもしれません。
何が真実かそうでないかは、時間がたってから判明することもあります。熱狂的なブームに躍らされることなく、冷静さを持って判断しなければいけないと思いました。それは政治や社会の問題でも同じこと。私自身も反省しています。
