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リーマン物語③

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同族会社

  • 同族会社であるこの社は、オーナーは編集や人事に口出ししないのがこれまでの慣例だった。編集幹部は報道に専念し、是々非々でニュースを伝えることができた。私が知る限り、ここ数十年は守られてきた。自由で活発な意見を言い合える雰囲気があった。昨年、会長が亡くなり、現オーナーが全権を握ると、その社風が変わりだした。社会部出身者はだんだん本社から外に追いやられた。残っているものも表情は硬い。不思議だったのは、どこからも不満や批判が聞こえてこないこと。私の職場では、整理部出身者ばかりで、鼻持ちならない社会部の奴らがいなくなるのは清々するという反応だった。そんなとき、地方に出された部長が心筋梗塞で倒れた。彼は社会部系の幹部と懇意にしていた。症状は重いという。心労がたまっていたのだろうか。今年6月、取締役会で役員改選があった。人事これまでリベラルで頼りにされていた社会部出身の編集担当役員が退任することになった。彼は報道について、的確な指示を出し、上にも必要なことはきちんと言える人だった。彼の後任で編集担当を兼務することになったのは別の担当役員。彼は他地域での勤務が長くこの本社での報道は長きにわたって見ていないはず。この本社エリアのデスクや記者ともほとんど面識がなかった。
ABOUT ME
シュレディンガー
シュレディンガー
報道記者
マスコミに勤務。記者として東京、大阪での取材経験あり。最近はサイエンスコミュニケーター目指して宇宙物理や量子力学を学んでいる。
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