新聞記者に理系は必要?文系出身との違いと取材現場での実情

新聞社の記者は文系出身者が圧倒的に多く、理系出身者は全体の1割程度といわれています。
しかし近年は 生成AI、再生医療、量子コンピューター、感染症、地球温暖化、宇宙開発 など、科学に関わるニュースが増加。理系の専門知識を持つ「サイエンスコミュニケーター」としての記者が、ますます求められています。
理系記者と文系記者の配属先の違い
- 理系出身者 → 科学部、医療科学班などに配属されやすい
- 文系出身者 → 社会部・政治部、経済部などが多いが、科学や医療の取材も担当する
実際には、文系記者でも理系テーマを取材することは珍しくありません。関連書籍や研究者から学びながら記事を執筆しています。
ノーベル化学賞・田中耕一さんの会見取材
私が関西勤務だったころ、田中耕一さん(島津製作所)がノーベル化学賞を受賞しました。
会見では専門用語が飛び交い、文系記者の私は理解に苦しみました。そこで思い切って「中学生にも分かるように説明してください」とお願いしたところ、田中さんが丁寧に応じてくれました。その様子はテレビで生配信され、一般の視聴者にも分かりやすく伝わりました。
👉 この経験から、理系知識の有無にかかわらず「専門用語をかみ砕いて伝える姿勢」が重要だと学びました。
文系でも必要になる理系取材
- 大学教授への研究取材(医療、雷、気候など)
- 厚生労働省担当時の感染症や医療取材
- 原発立地自治体での発電・地震関連取材
このように文系出身の記者でも、理系の知識が必要な現場は多くあります。
専門的すぎる理系記事の問題点
理系記者は専門家との付き合いが多くなりがち。正確さを重視するあまり、専門用語に偏りすぎる傾向があります。
結果として、一般読者には理解しづらく、研究者の言いなりになってしまうケースも。
例:東日本大震災後、ある教授の「大地震が近い」という発言が大きく報じられましたが、実際には余震の数を数えただけ。それを頻発する地震ととらえて予測を出していました。研究費獲得のために過剰な警告が行われることもあります。
女性研究者によるスタッフ細胞発見の時もそうでした。
東大理系学部出身の科学部デスクが「あれはおかしい」と疑問を抱き、紙面掲載を見送りました。経験豊富な理系記者の頭で考えれば、発表そのものをうのみにすることはあ経験豊富なした。
これからの報道に必要なこと
- 科学技術が急速に進歩する時代、新聞社は理系出身の記者をもっと増やすべき
- 「文理融合型の記者」 を育て、科学を分かりやすく社会に伝えることが急務
まとめ
- 新聞社は依然として文系出身者が多い
- 理系の取材は文系記者にも頻繁に回ってくる
- 理系記者だけでは専門的すぎる記事になりがち
- これからは「文理をつなぐ記者」が必要
