赴任して気づいた茨城の底力|食・文化・人の温かさを体験して

全国都道府県魅力度ランキングで最下位常連とされる茨城県。私が40代のときに赴任しました。初めての土地で、評判もあまり聞こえてこなかったので、ずごく不安でした。しかし、実際に暮らしてみると印象はまったく違いました。 魅力度ランキングで最下位でも、実際に住んでみれば食・自然・人々の温かさにあふれた土地でした。皆さんも知らない赴任地に戸惑うかもしれません。自分から受け入れれば、楽しいことも見つけられます。私が茨城県で体験した「食の豊かさ」「人々の暮らし」「地域の文化」についてご紹介します。
食の豊富さに驚き|茨城県は農業大国
茨城県は農業産出額が全国3位。メロンやレンコン、さつまいもなど産額上位の品目が多く、食文化は非常に豊かです。 喫茶店ランチに豪華ビュッフェ 喫茶店でランチを頼むと、パンやカレー、スパゲティ、野菜、デザート、飲み物までそろったビュッフェが追加料金なし。ワインも少額の追加料金で好きなだけ楽しめました。
お蕎麦屋さんでは普通盛を注文しても、他県の大盛に匹敵するボリューム。県民にとってはこれが当たり前でした。
茨城県の暮らし|人々と文化
街を歩くと他県に比べてふくよかな人が目立ちました。女子高校生の平均体重が全国1位だったこともあり、県教委は「他県の女性がやせすぎているだけ」とコメントしていたほどです。
暴走族文化と“御殿”の若者たち
週末の夜になると水戸駅前には暴走族が集まり、改造車やバイクで走り回りました。背景には、メロン農家の「メロン御殿」やシジミ漁師の「シジミ御殿」があり、経済的に余裕のある家庭の若者が派手な車やバイクに乗っていたのです。
茨城県に住んで感じた本当の魅力
茨城は海や山、広大な農地が広がり、魚介類や特産のあんこう鍋も絶品。赴任中は食べすぎて体重が増えてしまうほどでした。
不思議な事件もありました。事務所から夜に金庫から現金1000万円がなくなる盗難事件が発生。警察の調べでは、事務所のカギは空いており、現金が入っていた金庫には鍵穴にカギがかかったままでした。そりゃあけられるわな。
別の民家では、タンスに入っていた1000万円が盗まれる事件もありました。のんきな県民性を象徴する事件が結構ありました。
オセロ発祥の地
白黒のコマが目まぐるしく入れ替わる「オセロゲーム」の発祥の地でもあります。終戦直後の水戸第一高校の男子生徒が、家にあった碁石を使って短時間で決着がつくゲームを考案。焼け野原となった学校敷地で青空授業の合間に楽しみました。 何も娯楽がなかった生徒たちに爆発的にはやりました。もっと使いやすいようにと牛乳瓶のふたの裏側を墨で黒く塗ってひっくり返せるように。オセロゲームの原型が出来上がりです。この 生徒が大人になってから、おもちゃメーカーのバンダイに勧めたところ、商品化されました。今では世界大会が開かれるくらい有名なゲームになり、チェス世界王者とオセロ世界王者が対決する企画も話題を呼びました。
この男性をバンダイ本社で取材したことがありますが、とても気さくなおじさんでした。攻守が目まぐるしく変わるドラマチックなゲームとして文豪シェークスピアの作品「オセロ」に例えて、名前を付けたそうです。男性の父は英語の翻訳家でした。
水戸光圀、偕楽園以外にも魅力がいっぱい
水戸光圀、偕楽園、講道館、納豆、袋田の滝、大洗、筑波山、鹿島アントラーズだけではありません。茨城には、住まないとわからないよさが詰まっています。 県外者のイメージだけで作られる「魅力度ランキング」は必ずしも実態を反映していません。しょせん、人が決めた基準。自分が、街のいいところを探して自分にとっての魅力を上げればいいと思います。
その土地を楽しむことが、結果的に仕事や生活を充実させるのだと実感しました。皆さんも積極的に楽しんでください。そうしないと損ですよ。

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